【The woman who was kept】

題名の英語は「囚われた女」という意味なんですが、中の題名は全然違いますし日本語です。これまたネーミングセンスの欠片も無いサクジロウが脳みそ取り出して頑張ってつけたんですが、単純に考えたらどっちがいいか分からなくなってしまって2つともつければいいじゃんってことでこうなりました(苦笑                                                                      だから決して書き間違いでも、入力ミスでもないので・・・・(汗


まぁ・・・中身はシリアス一直線ですし、アスランとってもひどい奴です。この間書いた抜粋でも分かると思いますが・・・とりあえずあんな感じ・・・。カガリたんはすっごく可哀相です・・・(ぇ                         オリキャラ発生してますし、ちょっとアスランとの絡みがあるような無いような・・・取り合えず、カガリが可哀相でアスランがカガリに冷たい態度なの嫌だ!!って方は続きに進まれない方がいいです!!結構妄想一直線の完璧な二次創作なので!!                                              時間軸はこの間も書きましたが種デス戦後です。しかしキラもラクスもシンも一切出てきません!!出てくるのはアスカガマーナ(笑


かなりの駄文のくせに、シリアスでハッピーエンドって感じじゃあないですが、よければ続きからどうぞ★

いらないと言ったのは私                                                            必要ないからと突き放したのも私                                                        そして結局はすがりつきたいと願うのも私・・・・


全ては私のせいで、全てはこんな私にしたお前のせい・・・・・・・・


罪の色をした世界


運命の戦火が再び静まってから既に6年・・・                                            世界は平和への道を徐々に、だが確実に歩んでいた。人種間の差別の緩和のために今では世界を導く国家の代表である南海の宝珠オーブに宇宙に浮かぶ進化の結晶であるプラントは中立国家として人種を差別することのないコロニーの共同建設を見事に成功させた。                                                                 輝かしい平和への第一歩・・・それを率いたのは天の女神と謳われたプラント評議会議長ラクス・クライン、そして地の女神と謳われたオーブ代表首長カガリ・ユラ・アスハ・・・2人の女神の手によって世界は新たな平和の道を歩み始めた。                                         


その道がいつからか一人の女神で血まみれになっているとも知らずに――――


―――――――――――――


激しい破壊音 何かを叩きつける音 耳をつんざく叫び声 ガラスの破れる音が鳴ると美しい屋敷に似つかわしくない激しい騒音は終わりを告げた。                                            しばらくはその騒音をあきらめた様な顔で聞き流していた一人のふくよかな女性は、最後のガラス音に騒音の主が怪我でもしているかもしれない・・・と階上の部屋を見上げため息をついて、応急処置用の箱を持ちまた何かをあきらめたかの様なため息をついて階段を一段一段重い足取りで歩んだ。                                                  女性が何度もため息をつく理由はただ1つ。この心配事の種はきっとこの応急処置の箱など必要ないとでも言わんばかりに投げ捨ててしまうだろうからだ。最近ではわざと自分の身体を傷つけているようにさえ見える・・・女性は肩を落とし大きく深呼吸をすると、問題の部屋のドアをノックし、控えめに自身の主人に声をかけた。                              


「カガリ様・・・・?お怪我なさっていませんか?ガラスの破れる音がしましたわ・・・」                    


しかし、声をかけた先の部屋からは微塵も反応がなくまるで誰の存在も感じさせなかった。                                                                     まさか窓から飛び出て行ったのでは・・・?かつて木登りなどが大得意だった主人だったら二階の高さなど苦も無いだろうがここ近年運動という運動をせず、体調も思わしくない彼女が窓から飛び出したなど怪我を負わずに済むはずが無い。主人の無事が気になった侍女、マーナは少し慌てたように激しく扉をノックした。                                  「カガリ様!?ご無事ですか!?そこにいらっしゃるのですよね!?入ってもよろしいですか!?」                                                                   マーナが扉のノブに手をかけた瞬間内側から何かが激しく扉にぶつかる音がした。                   


「うるさい!!入ってくるな!!私ならなんともないからさっさと戻れ!!」                         「カガリ様・・・しかし、お怪我をなさっているのでは・・・?それに近頃まともにお食事をなさっていません!!マーナはカガリ様が心配で・・・」                                   「放って置いてくれ!!食事も治療も必要ない!!頼むから・・・今は一人にしてくれ!!」                                                                      部屋の中からカガリの崩れ落ちる音が聞こえ、本当は今すぐに扉を抉じ開けて傍にいてあげたい思いを重いため息でごまかすとマーナは扉に背を向けた。                                「カガリ様・・・・ご無理だけは決してなさらないで下さい・・。マーナは下にいますから、落ち着いたら必ず怪我の治療にいらしてくださいね・・・?」                                      昔の少女ではもう無い自分の主人・・・かつての様に簡単にその領域に足を踏み込むことは出来なくなってしまったことにマーナは悲しいほどの寂寥感を感じるとその場を後にした。


―――どうしてこんなことになったのだろう?幼い頃から大事に見守ってくれていた乳母にさえ汚い言葉を投げかけ、大事に育ててくれたたくさんの人の愛情を泥に捨てるように自らの身体を傷つけて・・・これで一体何が変わるというのだろうか?胸に開いた穴が塞がるわけでもないし、唯一これを塞げる存在が戻ってきてくれる訳でもない・・・。                     カガリはマーナの心配した通り、鏡台の鏡で切れて血まみれになった手を床に広がったシーツでぐるぐるに包んでごまかすと、身体を投げ出すようにベットの上に身を置いた。


カガリはそのまま視線を鏡台に取り付けてある引き出しに目をやった。六年前に確かな決意を持って封印したカガリの想いの全てがそこには入っている。カガリが決して開けないと、二度とこれにすがり頼って何も出来なくなる人間でいないために封印をしたあの赤い熱情がそこには入っているのだ。                                                    「もう、二度と会えないって覚悟もしたのに・・・な・・・」                                      今カガリの心にあるのは、その決意に対する憎しみと後悔だけ。そして引き出しの中に詰まっている溢れそうなほどの想いにすがりつきたい欲望だけだった。                            だが、それはカガリのプライドが許さない。決意を裏切るように堕落していくことはここまで築きあげてきた世界を汚すことになるとカガリは思った。                                    ――――こんな汚れた人間に世界が導かれたなんてあってはならないことなんだ・・・。だからこそ・・・私はあいつと共に歩めないと割り切ったはずなんだから・・・。                          こんなにまで依存していたなんて・・・そして、割り切ったはずの想いなのに・・・まさかあいつの行動に裏切られたと感じるなんて・・・どうしてこんな・・・


きっかけは3年前のある夜会の噂話からだった――――


「〜〜〜〜あの噂のコーディネーターですか・・・・」                                     「えぇ、もうそれはお美しい容姿に聡明な方で・・・プラントでもなかなかあのような方はいらっしゃらないでしょうね・・・」                                                    来賓の人々に挨拶回りをするカガリの耳に飛び込んできたのは、いつだってカガリが共に未来を歩む仲間として心の支えにしてきた彼の話だった。あまりに忙しい政務の中で、カガリはアスランと会うことは皆無といっていいほどあらず、たまに視察に行った軍事施設の中で姿を捉える事があるくらいだった。あいつときちんと向き合ったのは最終決戦で宇宙へ出るオーブ兵達に挨拶をした時にアスランと抱き合ったのが最後ではなかっただろうか・・・?と、カガリが苦笑しながら思考に耽っていると目の前の夜会の客人から耳を疑うような言葉が聞こえてきてカガリは自分の身体から血が引いて冷めていくのが分かった。                                                              「彼は最近昇進もなされたというのですから、まったくアルメディ家のセイラ令嬢もお目が高いと言ったところか・・・はっはっはっ!」                                                         「セイラ様もそれは見目麗しい方ですからねぇ・・・あのアスラン様と2人並ばれた姿はさぞお似合いでしょうね〜・・・・・」                                                      「婚約もあるのではないかと近頃軍部ではその話題でもちきりですよ。まったくどれだけの女性士官を泣かせるのか・・・罪作りな男といったところですな!ははははは!!」                                                   


カガリの身体は死んだように硬直して動けなくなっているというのに、心臓だけが爆発しそうに鼓動を打っていた。聴覚がうっすらと叫ぶキサカの声を捉えていたが脳が認識出来ていない・・・たださっきの客人達の話題がぐるぐると脳を周るだけだった。                     ――――なんで?どういうことだ?アスランを射止めた?誰が?アルメディ家?それはオーブの貴族でナチュラルじゃないか・・・なんで?かつて共に戦った戦友でもなんでもないのうのうと平和の世界にいた貴族だぞ?結婚?アスランがあのセイラ嬢と?・・・私じゃない・・・ただのナチュラルの女なんかと!?


―――――――――――――――――


カガリはうっすらと瞳を開けて見慣れた天井にこの心の中の汚れを移す事は出来ないのだろうか・・・とくやしそうに睨み付ける。                                                  あきらめたはずだった・・・頼ってすがって一緒にいつまでも幸せに歩める道を・・・。だからこそあの指輪を外して離れて、互いに想う相手が出来ても最後は平和な世界に2人共立てたらいいと・・・願ったはずなのに・・・簡単にその決意は踏みにじられた。他でもない自分にだ。アスランに他に想う相手が出来た・・・それを複雑な気分で聞くわけでもなく、その幸福を祝ってやれるわけでもなく・・・ただ憎しみを抱いてしまった。                      自分を労わってくれたあの腕が今は他の女を労わり、自分を激しい感情の渦に巻き込んだあの熱情が他の女に向けられる・・・・。                                                     平和を築くために何度も世界の全ての幸福を祈ったその心に、ただ誰かを憎むだけの憎念が生まれた。                                                       ―――ただのナチュラルなんかに―――                                            とりかえしのつかない想いを抱いたカガリの心は軋み、カガリはそんな自身を認められず手当たり次第手に触れたものをそこら中に投げつける。時に傷つく自分の身体から流れる血がかつて彼が着ていた軍服を思い出させ余計にカガリをイラつかせた。                            どんなに自分を痛めつけても消えない心の闇。あの夜会からの3年間に築き上げた平和な世界はきっと血の色をしている・・・。                                             ごまかし続けてここまで来たカガリだったが、世界が安定の色を見せ始めた今、そろそろ自身に限界が近づいていた。                                            ――――このまま進めば、いずれは私は世界を憎んでしまう。自分とあいつが隣にいられることを許さなかった世界を・・・                                                 憎しみだらけの心なんかでいたくない・・・今カガリを守っているのはカガリ自身の矜持だけだった。何も知らない一人のただの女性を憎んでしまった・・・それだけで既に恐ろしいほどの罪だというのに、これ以上憎しみを抱いてどうして平和な世界など築けるものか・・・。                                                              カガリはもう枯れて出ないのか、涙腺が死んで出せなくなったのか、睡眠不足で血走った瞳を両手で覆い乾いた笑いをこぼした。                                         「ふっ・・・くくく・・・ははっ・・・・・何で・・・・・こんな・・・・・」


怪しく輝く月光が絶望の淵で怯えるカガリを照らし出している頃、同様に月の姿を映しだす夜の海を海岸で静かに眺める一人の男がいた。周囲の闇に溶け込むように黒く艶やかな髪が風にたなびいていたが、闇にはその白い肌とどんな宝石にも負けないくらいの輝きを放つ翡翠の瞳が燦然と輝いていた。その翡翠は嬉しそうな色を滲ませ、翡翠のしたの唇は怪しく弧を描きその口を開くと楽しそうな声が辺りに響く。                            「もうそろそろ・・・かな・・・?」                                                       男は楽しそうに体を震わせ笑っていたが、おもむろに月を仰ぐと瞳を細めひときわ低くした声で恍惚と言い放った。                                                     「俺から逃げられると思うなよ・・・・・カガリ・・・・・」                                  ―――そして翌日。早朝のアスハ邸に訪問者のベルが鳴る。すばやくインターホンの受話器を取った使用人の一人、しかし監視カメラで映し出された姿を確認すると使用人は焦ったように落ち着かなくなり、傍にいた仲間に急いで使用人頭のマーナを呼ぶように頼んだ。丁度主人の朝食の用意をしているところだったマーナは慌てた様子で自分を呼びに来たメイドに押し付けられるように受話器を耳につけ画面を覗くと一瞬息を呑み相手の名前を発した。                                                         「・・・・・・・アスラン・・・様・・・・」



「あれ?マーナはどうしたんだ?」                                                          休日だからといって部屋でまどろむ気分にもなれず、リビングに出てきたカガリ。朝になれば必ず朝食の用意をしてくれているはずのマーナの姿が見えず、カガリは近くにいたメイドに訪ねる。                                                              「あ、えと、マーナさんは今急ぎの用事で・・・カガリ様にきちんとお食事を取って頂く様に言付けを・・・」                                                                  「そうなのか?まったくマーナは心配性だなぁ。分かった、今日はちゃんと食べるよ」                     とくに疑問に思わなかったのか素直に席について食べ始めたカガリを見て、メイド達は安堵する。もし・・・もし、今彼の姿をこの主人が見たとしたら・・・                                   メイドの一人が緊張で震える手で紅茶をカップに注ごうとしたその時だった。                          


「お待ちください!!そちらにはカガリ様が・・・!!アスラン様!!」


聞きなれた声が忘れたかったその名を呼んだ・・・開け放たれた扉の先にカガリが視線を向ける。                                                                      「久しぶりだな・・・カガリ。」                                                        カガリは自分の身体が震え始めるのが分かった。息が荒くなり、眩暈がする。これは夢?願望が現実になって私を責めてるのか・・・?違う・・・本物だ・・・・だってあいつは今とても冷たい瞳で私を見つめている・・・。                                             「アス・・・・・・ラン・・・・・?」                                                         「・・・・朝から突然悪いな。ちょっと急なんだが荷物を引き取らなきゃならなくなって・・・それと、カガリに挨拶を・・・」                                                    「あ・・・・・え・・・・?」                                                              事態に未だについていけず固まって座り続けるカガリに何事もないように話しかけるアスラン。近くに立ってテーブルに手をかけるアスランにビクリと震えてしまう。ゆっくりと顔をあげると冷たい翡翠が見えてカガリは思わず身を引いた。                                      「あ・・・・・・何で・・・ここ・・・・・」                                                      言いたい事が定まらず、言いよどむカガリをアスランは何も感じさせない瞳で見ると淡々とした口調でカガリに言い放つ。                                                  「だから荷物を引き取りに来たんだよ。昔ここにいた時に置きっぱなしにしていた物があるだろう?本当はそのままでもよかったんだが・・・彼女が取ってきたほうがいいって言うもんだからな・・・」                                                        アスランの言葉から嫌な予感を感じ取る。                                             「かの・・・じょ?」                                                           


「・・・・・・あぁ、それの報告も含めて・・・だな。今度結婚することになったんだ・・・俺」                      頭が鈍器で殴られた感覚がして、眩暈が酷くなる。                                       「結婚・・・・・・・・?」                                                          「だからそろそろ荷物を引き取らなきゃと思ったんだが・・・・もしかして、もう捨ててた?」                                                                     おかしそうに笑って言うアスランに鈍くなっていた思考が突然クリアになる。                                                                      まるで、別れた男の荷物を処分してすっきりしてた?とでも言いたげなアスランの態度にカガリは真っ赤になって立ち上がり怒鳴った。                                             「突然何なんだお前は!!荷物でも何でも持ってけばいいだろ!?結婚なんていちいち報告してもらわなくても配下の軍人の情報ぐらい嫌でも入ってくる!!」                                 「・・・・・・・・・そうか。失礼したな・・・それじゃあ上がらせてもらうよ。」                                    はぁはぁと息をつくカガリにそのままアスランは背を向けてスタスタと階段に向かって歩き始めた。6年経っているとはいえ、流石のコーディネーターは部屋の位置は忘れていないらしくよどみなく歩く。その後ろ姿にいつかの護衛時代の彼を重ねてしまい、カガリは戻ってきた眩暈に吐き気を覚えた。                                                      あんまりだ・・・彼は確かに“結婚する”と言った。こんな簡単に終わりが来るとは思っていなかったのに・・・本当に今のはアスランなのか・・・?配下の軍人・・・あきらかな侮蔑の台詞にさえ何の反応も示さなかったアスランにカガリは胸が凍りつきそうだった。                                                            以前お父様と挨拶を交わしたことがある、第一印象は可愛くて綺麗なお嬢様。ただそれだけ・・・風貌だけはどこかラクスに似ているかもしれない。彼女には戦火の影さえ見えず、ただ平和な未来を約束されたようなお嬢様だった。優しそうで暖かい雰囲気で・・・誰かから憎まれるような人ではないと思っていた・・・・・でも・・・・                                               ―――ただのナチュラルなんかに―――                                                


「カガリ様?・・・・・あの」                                                           控えめに声をかけてきたマーナの声に触発されたかのようにカガリはアスランが去っていった方を睨み付けた。                                                      「全部・・・・お前のせいなのに・・・・!!」                                             こんな自分になったのも、平和な世界を血で汚してしまったのも・・・全てはアスランのせいだというのに。                                                              「カ、カガリ様!!どこへ・・・駄目ですカガリ様!!今会われたら!!」                          主人の幸せを心から願うマーナの手を振りきり、カガリはかつて使われていたアスランの部屋へと足を進めた。                                                        目的の場所に着くと、扉が不自然に開いていて窓でも開けているのかキィキィと音をたてて揺れていた。                                                          アスランは今も軍人で、カガリがわざと足音荒く部屋に入ったというのに、まるで気づかないふりをして背を向け荷物をしまい続けていた。もういらない思い出だとでも言うように段ボール箱に投げ込んでいる。・・・今までそれにどれほどカガリがすがったかも知らないで。                                                           いつまでも無視しつづけるアスランにカガリは舌打ちをするが、なけなしのプライドで冷笑を浮かべつつ声をかける。                                                               「そんなもの電話でもすれば送り返してやったのに。別にわざわざ取りに帰らなくてもよかったんじゃないか・・・?」                                                                今気づいたかのような仕草で振り返るアスランにカガリは再び舌打ちをするが、くっ・・・と漏れた笑い声にカガリは声を荒げる。                                                         「何がおかしいんだ!!」                                                          「いや?帰ってくるって言ってくれるから、ここは俺の家だったんだな・・・と思ったらおかしくてね」                                                                              意識したつもりがなかっただけにカガリは顔を赤らめる。                                          さっきから・・・いや、この屋敷に入った時からまるでカガリの想いなど知っているとでも言わんばかりの飄々としたアスランの態度が余計にカガリを境地に追いつめる。                                  


―――やめてくれ・・・もう、決めたんだ・・・。お前なんかいらない・・・私はもう一人で大丈夫なんだ・・・・!!                                                                     


「うるさい!!早く帰れよ!!もう二度と私の前に姿を現すな!!」                                        拳を震わせ涙まで浮かべている自分をアスランはどう思うだろう・・・カガリの心は限界ぎりぎりの細い糸の様に張っていた。目の前の存在に自分のプライドも何もかも壊されてしまうかもしれないのに、カガリは俯く顔を上げるのを止められなかった。いや、もしかしたら限界なんてとっくに超えてしまっていたのかもしれない・・・。                                                           合わさった視線の先には、何も読めないアスランの笑顔があった。                                          ―――いつからこいつはこんなに分からない奴になったんだろう?かつて仲間だったこいつはこんなに冷たい瞳で私を見ただろうか・・・?あぁ・・・そうか・・・・もうあの優しい瞳を向けられるのは私ではなく・・・・彼女に・・・・・                                               カガリは自分の中で何かが壊れて崩れ去る音を聞いた。                                      アスランは自分との全てを終わらすためにここに訪れた事実。そして、自分がまだアスランを愛していた事実・・・それはカガリが必死で保っていた矜持も何もかもを一瞬にして崩壊させた。                        「恨みたくなんか・・なかったのに・・・・。どうして、あの日のままでいてくれないんだよ・・・」                         傍にはいれないけど、平和を望む2人はきっと未来のどこかで笑い会えると信じていた。


立ち尽くして涙を流すカガリにアスランは無表情で、しかし決して視線をそらさずに話す。                         「変わらないでなんていられないんだ・・・カガリ。思い出だけで人は生きられない・・・確かに、あの日のままの俺達でいられたなら、ずっと幸せで・・・綺麗だっただろな。俺も、カガリも・・・世界も・・・・・・・・・・・・・・でも」                                                                  ―――――聞きたくない!!                                                              アスランから決定的な言葉を告げられる前にカガリはすがりつくようにその身体に抱きつき、噛み付くようにキスをした。確かな決意も、かろうじて残していたプライドも崩れ去った今、カガリをカガリとして支えられるのはアスランだけなのだから。                                    「・・・・・・・・・・・・・・・・ふ・・・なんで・・・・?」                                                     アスランはとくに抵抗も見せず、しかしすがりつく身体に手をまわす事も無くただ綺麗な翡翠の瞳を輝かしカガリを見つめた。                                                              「・・・・・・・・・カガリはずるいな・・・」                                                         「ずるい?・・・・・・・・・・お前がそれを言うのかよ?」                                             「そうだな・・・・確かに俺はずるい・・・・・・・本当は・・・・・・誰よりも世界の平和を願う君の傍で、世界の未来を呪っていたよ・・・」                                                                「・・・・・・・お前って・・・・・本当に馬鹿なんだな・・・・・」                                                力が抜けたかのようにアスランの背中を伝い落ちたカガリの手は、そのまま宙に落ちる事なく冷たく汗ばんだアスランの手に捕らえられた。


「お荷物をお忘れのようですわ・・・・・?アスラン様」                                                                    空が暁に染まる時刻、アスハ邸からひっそりと去ろうとする男にマーナは感情を抑えた声をかけた。                                                                          「・・・・・・・どうやら引き取る必要は無くなったみたいですよ・・・マーナさん。すぐに帰るとカガリに伝えておいてもらえますか・・・?」                                                        突然かけられた声に驚く様子も見せず、来た時とはまるで違う穏やかな笑顔で微笑んだ。                                                          「帰る・・・?貴方が帰られる場所はここではないのでは!?」                                    「・・・・・・いいえ、ここですよ・・・・・俺の帰る場所はいつだってカガリの傍です・・・・・・・。」                         決して逸らされない翡翠が一瞬輝きを増したように見えて、マーナは視線を合わせることが出来なくなった。                                                                        「・・・・・・・カガリの手の治療・・・お願いします。今は疲れて、あの部屋で眠っているはずですから・・・」                                                                           そのままアスランの背中を見送ると、マーナは応急手当の箱を持ってアスランのかつての部屋の扉を開く。                                                                      「・・・・・カガリ様?」                                                                   控えめに声をかけると、ベッドの上で身じろぎをするカガリの姿が見えた。そのまま傍まで近づくと、うっすらと瞼が開かれ琥珀の瞳が覗く。                                                「あれ・・・・?マーナ?・・・・アスラン・・・アスランは!?」                                          「いったん戻ると・・・・・すぐに帰るからと・・・おっしゃってましたわ・・・・」                                   「・・・・・・そうか・・・・・・・・マーナ?」                                                       涙を流しながら、マーナはカガリの手を取り包帯を巻きつける。かすかに震える手は、暖かく優しくそして力強くカガリの手を握った。                                                     「カガリ様・・・・・・・幸せに・・・なられてください・・・・。それが・・・マーナの願いにございます・・・」                      カガリは自分の手を握るマーナに擦り寄るように抱きつき一筋の涙を流した。                            


―――――――――――――――


「なんで婚約なんてしたんだ・・・?」                                                              「過去に縛り付けられるのはもう嫌気がさしたんだよ・・・。俺は今の君が欲しかった・・・ただそれだけだ・・・。」                                                                      「・・・・・・・・綺麗な約束事だと思っていたのは私だけか・・・・」                                      「・・・・カガリ・・・・・」                                                                「お前がいてくれるんならそれでいいんだ・・・・もう、私にはお前しかいない・・・」                               「違う・・・俺がそうした・・・。カガリが俺なしじゃ駄目になるように仕向けた」                               「それでも・・・・・結局望んだのは私だ・・・・・・・・・・。アスラン・・・・・傍にいて・・・・・」                             「いるよ・・・もう離れるつもりも・・離すつもりもない・・・・君は・・・俺のものだ」                                     


あいつのあの優しい微笑を手に入れる代償として、その日私は世界を完全に罪の色に染め上げた。                                                        でもそれは私のせいでもあって・・・・こんな私にしたお前のせいなんだ・・・・アスラン


 


カガリさんアスランに捕まっちゃいました(笑 カガリを得るために6年も他の女性と交際してカガリに壮大なヤキモチ焼かせるって、どんだけねばっちい男なんだアスラン・ザラ(爆                                一番可哀相なのはオリキャラの婚約者と、マーナだったと思います。不器用な2人を愛したサクジロウに振り回されて(喜 後、マーナが治療に来た時カガリがベッドの上にいたのもアスランの疲れて眠ってた宣言も朝帰りも、そういうこと意識して書いたわけじゃないですがそこらへんは皆様の脳内で淡いピンクの妄想を膨らませて頂けると大変結構で(終了 これの別バージョンでキララクの話もあったんですが長くなりすぎたのでばっつり割愛させて頂きました。いつか日の目を見るといいね!!


                                                                                       


                                                                                                                                              

Posted by サクジロウ
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